このコーナーでは、プロテックスポーツがサポートを行った参加者のレポートを紹介します。

 
2004年BAJA500参戦リポート 久保田 誠司

■フィニッシャーバッジ
昨年のBaja500が終わったあと、ホテルの部屋で石井さんが『唐沢さん!フィニッシャーバッジここにあるからね』と言った。
唐沢さんは何気なしにバッジをポケットに入れて部屋を出て行った。そのシーンが何か心にひっかかった。私はスタートして直ぐにウオッシュアウトに嵌り転倒!マシンと身体を痛めリタイアをしていたのだ。
そんなことから約半年、石井さんから『新潟の中村先生がBaja一緒に組んでもいいよと言ってたよ』との連絡があった。直ぐに連絡を取り合った。とりあえず、《BAJAで痛い思いをしたチーム》の結成だ。暫くして東京の飯塚君からもオファーがあった。飯塚君とは98年の《ラリーロスラーのライディングスクール》以来のお付き合い。
BAJAの洗礼!昨年はそんなことも言われた。周りからあれこれ言われ妙なモードになった。でも今年は《思いっきり楽しむ!》

■オイ!いくらある?
6月1日、ロスアンゼルス到着。私達3人の他になんとソロで出場する上条奈々子さん。3日前からこちらに来て準備をしている上野さん。中村先生のお嬢さん(本物の)そしてサポートの石井さん、菊谷さんの計8名でメキシコ・エンセナダに入った。
ウエルカム・タコスを食べてテカテ・ビールを飲んだらあとは寝るだけ。長い長い一日?の終わりだ。明けて2日、プレラン1日目だ。まずは私と中村先生、上野さん上条さんの4台でサントトーマスから海岸線を走った。飯塚君はマシンの関係で途中までお休み。順調にプレランできてお昼のサンドイッチが美味かった。“厳しい”と言われたループコースの約50マイルは私と上野さんだけが走った。そして3時過ぎに“お泊りセット”を背負ってマイクス・スカイランチへ出発!ここからはサポートがいない。我々ライダーだけで行くことになる。上野さんはWR420が水漏れを起こし修理のため遅れる。早くマイクスでのんびりしたいので私達は出発した。
かなり厳しいガレ場を越えて6時ごろマイクス着。疲れた〜、ビールが飲みて〜。部屋を貰い、プールサイドの芝生の上に足を投げ出してビールを飲んだ。美味い!生きている実感を味あう。レース前ということもあり今夜の宿泊客は30名ぐらい。ステーキの焼ける匂いが空腹の胃を刺激する。7時を過ぎたころ『デナー!デナー!』の声がかかる。しかし、上野さんがまだ来ない。ど〜したんだろう?水漏れが直らないのか?
今夜の《宿代》は上野さんが持っているのだ。『オイ、いくら持っている?』飯塚君に聞く。二人で300ドルか〜、なんとかなるべ〜。とにかく肉を食べるべ〜。と、そこへ上野選手やっと登場! 《ステーキデナー》の後、酔っぱらいのアメリカ人を相手に酔っぱらった上野君大いに盛り上がる。

■ジョニーが後ろから
マイクスの朝は早い。身体が痛い。疲れが溜まっている。メキシカンスタイルの朝食を食べてマイクスを後にする。9時30分にトリニダッド村でサポートの石井さん達と待ち合わせだ。ワインディングのダートロードを気持ちよく走った。キャトルゲート(牛の脱走防止用)を飛び越える時、左に振られた。その時、後ろから何かが??バイクだ!こちらをヌットのぞきこむようにしてあっと言う間に走り去っていった。XR650だ。私より7〜8分前を走る飯塚さんもあっと言う間に抜かれたらしい。それもそのはず、あのXR650はホンダのジョニー・キャンベルさんだったのだ。
トリニダッドで私はあがった。ここからは飯塚さんと上野さんだけがプレランをした。スタートしていく飯塚さんは舗装路でウイリーをしながら出て行った。思いっきり左側通行で! 2日間のプレランは無事に終了。

■受付・車検
9時に受付へ。もう事前にエントリーフィーは支払ってあるのでエキスプレスラインへ。でも凄く込んでいる。ジョニーとスティーブも並んでいた。飯塚さんは記念ショットをガシャ!受付が終わると今度は車検。簡単なチェックで終了。しかし凄い人出だ。現地の人にとってはお祭りだもんな。

■レース当日
今回のサポートは車が2台、石井さんと菊谷さんの2名だけ。石井さんが1号線、菊谷さんが3号線をサポートしてくれる。菊谷さんと第3ライダーの飯塚さんはスタートの雰囲気だけ味わってオーホスネグロスへ移動。残りの私達はスタートライダーをお見送り。プロクラス30の上野さんがスタート。そして我がチームの中村先生がWR250で出て行った。続いて奈々子さんがXR250を全開で!スタートして行った。我々はサントトーマスに移動した。Km51地点はサポートと現地観戦住民とで大混雑。やがてヘリが飛んできて1x、5xと国道をワイドオープン?で通り過ぎていく(前夜のミーティングで『スピード違反は失格』と脅されていたのでみんな国道は安全運転でした)
やがて上野さんが来た.ライトカウルを壊しての登場だ。でもゴーグルの交換のみで出発。もうATVが来ている。中村先生、上條さんが心配だ。しかし、我々はKm168まで移動しなければならない。ここで二人の顔を見ている時間はないのだ。
一方、3号線に行ったサポートカーはオーホスネグロスで3台の通過を確認しトリニダッドへ移動。そこで延々と午後の3時ごろまで待つことになる。
上野君Km168に10:20ごろ到着。ライトカウルを修正して出発。タイヤ交換はループの後でという事になった。石井さんはループの出口へ移動。私とさやかちゃんはここで中村先生の到着を待つ。
スタートしてから5時間が過ぎたころ、中村先生が到着。ウエストバックを受け取って沢山のメキシカンが見守る中をスタート。サンドのカーブを曲がるとジャンプ?があった。見ると向こう側に大きな穴が!ええ〜い、飛んじゃえ!そしていよいよ難コースと前評判の高いループに入って行く。ガレの登りを超え、深いシルトの逆バンクを過ぎ淡々と走る。マグセブンには1時間40分ぐらいで到着。ガスを補給してもらって一息ついた。なかなかのペースだと思った。ただ、シルトで右足を捻ったのが心配だった。そしてマイクスへ向かう。登りを走っている時、下のほうにヘリが2機旋回していた。まずい!もう4輪が来た。今回、いつものコースと逆なので海岸沿いはスピードが出るのだ。右側はガケ、左側は壁では逃げ場がない。とりあえず、逃げろだが直ぐに追いつかれてしまった。左にイッパイにバイクを寄せてやり過ごす。ホコリで何にも見えない。コースに戻って走り始めるとまた来た『ガオー』死ぬ〜!危うく追突されるところだった。ちょっと間が空いた時、逃げる逃げる。でもまた直ぐに4輪がガオーとやってくる。こうなるとペースは上がらない。目標の5時間(トリニダッドまで)が難しくなって来たな。やっとのことでマイクスに到着。マグセブンでスタミナドリンクを貰う(事前に預けておいた)。しかし、こんな山奥にど〜してこんなに人が居るんだ〜?と思いつつギャラリーを見学。さ〜あと40分ぐらいだ。最後の難関“サンドフープス”だ。ラインのいいところを走りたいが茂みから4輪が出てくるかも・・それでもラインを選びながら走っていたら細い木にハンドルが引っかかった。と思ったら枯れた太い木がしたからWRを突き上げた。倒れた瞬間《エンジンは止めたくない》と思ったが無情にもストップ。ア〜直ぐかかってくれ!こんな時ホット・スタートがあるから大丈夫。でもサンドでスタンドが立たないうえに右足が痛くてキックが出来ない。このままここにお泊り?中村先生の『飯塚さんにつないでよ』の言葉が重くのしかかる。暑い中でのキックに体力も水もなくなってきた。30分ぐらいたっただろうか・・4輪が来た!でも『ガオー』っと来る4輪を止める勇気はない。先ほどはあんなにいたギャラリーもここには誰も居ない。痛い足をだましながら“キック!” かかった!!ウエストバックを腰に付け猛然とダッシュ!飯塚君待っていろ!今すぐ着くからな〜。国道に出た。あと5分だ。トリニダッドに着いたのは予定より45分遅れだった。飯塚君あとは任せた。『必ずフィニッシュしてくれ』と送り出した。

■菊さんとワンカップヌードル??
オーホスで朝からズ〜ット待っていた菊さんと今度は私が一緒に上條さんを待つ。
疲れは不思議と無かった。それよりも繋いだ安堵感の方が強かった。早く上條さんの姿を見たいと思いつつバイクの排気音を頼りに待つ。でも来るのは4輪ばっかり。大丈夫かよ〜上條!8時ごろ1号線に行っていた石井さんのVanが到着。懐かしい中村先生、さやかちゃんも一緒だ。辺りが暗くなった。PROTECHのサポート・ボードが良く見えるように照明を当てる。これなら疲れた目でも見えるはずだ。しばし待つ。その間にカップヌードルを食べた。そういえば朝から何も食べてなかったのだ。メキシコの夜空を眺めながらのカップヌードルは最高だった。(また思い出が出来た)

■石井さん寝ないで!
上條さんがあんまり遅いのでマグセブンと無線連絡を取るため石井さんはVanでKm126まで移動。菊さんは『しばし休ませて』と仮眠。綺麗な星空の下、聞こえてくるのは菊さんの“いびき”。疲れているんだな〜ご苦労様!
10時を少し廻ったころだろうか、石井さんが戻ってきた。Vanの前方には上條さんが・・・菊さんライト、ライト取り付け!慌しくなった。しかし、上條さんは手首の怪我で『これ以上は無理』とのこと。良くここまで走ってきたな〜。バイクは4輪にぶつけられてステップがグンニャリ、ライトだって純正の小さいのだもの。足も怪我していてキックできそうも無いみたいだ。でもここまで走ってきたファイトは凄いものだ。11時、ここでサポート終了。エンセナダに戻る。石井さんが運転、助手席にさやかちゃん。なにやらへんてこな会話が・・・さやかちゃん、時々路肩に外れる石井さんの運転が心配だった様だ。(石井さんお疲れで運転しながらお眠りしていたようだった)
さ〜ホテルに到着だ。上野、飯塚の二人は無事にゴールしているのだろうか?
フィニッシュラインには誰も居なかったので私達は二人がゴールしたかどうかはホテルに着くまで、二人の顔を見るまで判らないのだ。
ホテルの部屋に明かりが点いていれば無事に帰って来ているということだ。オオ〜明かりだ〜!完走だ!やった!
これで、私達のBaja500は無事に完走!念願のフィニッシャーバッジを手に入れることが出来た。サポートのお二人さんご苦労様でした。

長野県在住 久保田 誠司 大りんご園経営 44歳
 

 
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