| 2001 BAJA1000 #2
山下睦美嬢、原田真由美嬢、村井由紀嬢の女性ばかり3名のチーム「サボテンシスターズ」の参戦レポートです。第二弾は、原田さんのレポートです。
■初めての「Baja」、そして5日間のプリラン。想像していた身体の疲労も感じず、『明日もバイクに乗れる!』と思うと毎日が充実していた。そしていよいよレース当日。第3ライダーとして、Catarina Road〜Dry Lakeまでの71.5マイルを走る。今回のコースで"最大の難所"と言われる『サミット越え』のスタート。
むっちゃんからXRを受け継いだ私は大きく深呼吸をして走り始めた。Mag7までのコースは爽快のはずが、緊張の為か、身体が思うように動かず硬い。
走り始めてそんなに時間がたっていないのに早くも疲労を感じている。予想外に不安を感じる。Mag7に到着するとサンタクロースの格好をしたスタッフが私の気持ちをリラックスさせてくれた。Gasもゆっくり入れてくれ、ゴーグルも綺麗に拭いてくれた。さあ、いよいよサミットだ!
プリランで走っていたので、ラインのイメージは出来ていたはずが、身体が思うように動かず"転倒" XR250Bajaを起こしていると、見物していたメキシコ人が〈此処は難所なので観ている人が沢山いた〉手伝ってくれた。私が"女"だと判ると、後ろから押すよりも自分で乗ったほうが楽?とばかりにXRに飛び乗りドンドンガレ場の坂を登って行った。私はその後ろを『ゼーゼー』言いながら歩いて登った。すると今度は後続の259Xが「乗れ!」と声を掛けてくれた。迷わず乗ってしまった私。ケンちゃんごめん!(私の旦那です)。日本では考えられない出来事に感激しました。こうしてサミットの一番キツイ所は難なくクリヤー!?した私。親切な259Xさん、メキシカンさん有り難う。
お礼もそこそこ、息も切れ切れの状態でさらにサミットのガレガレ、UP&DOWNを行く。慎重に走る。しかし何度も転んで手の握力が無くなってくる。
最後の下りにホッとしたのか、石にヒット!転んだ先には大きな石が。『あ〜あぁ、やってしまった、崖から転落!』と思ったら、石にバイクが引っ掛かり止まった。私は投げ出し状態に。ダサイこけ方だった。BIKEを引っ張りあげていると203Xが「大丈夫か〜」と通り過ぎていく。続いて201Xも・・・・争っているつもりはないけれどつい意識してしまった。やっとサミットが終わると今度は「ウオッシュ」に入る。この頃には筋肉の緊張も取れ、握力ももどってくる。やっと走るのが楽しくなってきた。これからは『長いウオッシュが続くのだ!』と気合を入れていたらプリランで走っていないルートに入り込んでしまった。ここは何処?もしかしたら"ファクトリールート?ジョニーもここを走ったのかしら?"なんて考えていたらワクワクしてしまった!
この頃になると4輪にドンドン抜かれ始める。埃で自分のペースがつかめない状態が続いたが、遠足と一緒で?2回目の道は早く感じる。予定をした時間よりも30分も早くDRY LAKEに着いてしまった。これで私のサミット越えは終わった。村井さんにバトンを託し、ホッとして食べた弘子さん"特製おにぎり"は美味しかった!
2回目のランはサンフェリーぺのDump Road〜Matomi〜Mikes Roadまでの82.58マイル。初めてのナイトラン。殆ど経験のなかったナイトランだったが、HIDランプさまさま。暗闇の恐怖があるのかな?と思っていたがそんな事を考える暇もなく走り続けた。プリランで辛かったMatomiのサンドウオッシュも4輪のおかげで少し走りやすくなっていて、そんなに苦にならず、川底広々コースへと突入。他のマシンとも会わず,軽快にクリヤーできた。ドライレーク横の道に出るとホッとしたが、ここで4輪に次々と抜かれ前が見えずスピードが出せなかった。
残るはサンマティアスのウオッシュだけ。ここをクリヤーすればもう国道だ。石井さんのアドバイスの「ジャンプ方式」で時々だが楽に走れた。身体の疲労もさほどなく、意外と辛くなかった。遠くに見える灯りが国道か!?と心を弾ませる。よそのチームのピットクルーが焚き火をしながら応援をしてくれる。その横を「波乗り状態」の走りで『集中力、集中力』と自分に言い聞かせながら走る。プリランで一緒に走った石井さんがこの時も後ろにいてくれているようで暗闇も心細いことはなかった。 石井パパに感謝です。今度こそ!?沢山の灯りが見えてきた。国道だ!無事,転倒もなく夜間をクリヤー出来た。PTSのピットに着くと「時間通り」の声にホッとする。この時点で予定時間より1時間も早いペース。これから6時間(予定では)の長丁場を走る村井ちゃんにXRを託す。この時あんなことが起こるなんて想像もしていなかったが・・・・
次の交替まではおよそ9時間のインターバルがある私は,花輪家の車に乗り込み一路ホテルへ!花輪家の"親方さん"は本当に気がつく方でした。私がして欲しいな〜と思うことが、言わずにして判ってくれてドンドン欲しいものが出てきた。"みんなに悪いな〜"と思いながらも深い眠りに入ってしまった。AM3時、Santo
Tomasへ移動。
■最後のラン、Santo Tomas〜Ojosまでの42.1マイルに備える。
2人の夜はどーなったかなー?情報が入らず時間だけが過ぎていった。予定よりもだいぶ遅れている。やっと連絡が入った。悪い知らせだった。7時間前に出て行った村井ちゃんがまだトリニダッドの戻っていない。「クラッチが壊れてだましだまし乗っている」との事。夜間のマシントラブル、まして長い区間でのアクシデント。マイクススカイランチの奥はプリランもしていないしどんなに不安だったろう。《村井ちゃんなら戻ってくる》と信じて待った。その後サテライト・フォーンによって村井ちゃんは4輪バギーに乗せてもらいMag7ピットまで戻ってきたとの報告が入った。《恐怖の後ろ乗り体験、良くご無事で!》石井さんと寺戸君がXRの修理に向かったとの事。
空がうっすら明けだした頃、山下さんから電話が入った『石井さんが判断すると思うけど、真由美ちゃん走りたい?』何時になく弱気になっている電話の声。『時間には間に合わなくても最後まで走ろうよ!ここで終わりじゃないよ!』と私。むっちゃんも《走りたい!》気持ちは同じだった。9時ごろマシンの修理が終わりむっちゃんがトリニダッドを再スタートしたとの連絡が入る。この時点で"30時間内の完走"は無理となったが最終フィニッシュラインを目指して走った。12時、Santo
Tomasにむっちゃん到着!
クラッチが完全でなく、張ってきていたが花輪のヒデさんがあっという間に整備をしてくれる。ヒデさんの"大丈夫!"には本当に安心感が持てました。花輪夫妻に沢山のアドバイスを受け、私の最後のランへ出発した。マシンをいたわりながら、みんなの顔を思い浮かべながら走る。ウオッシュアウト状の登りに、石の多いガレ場、《登りに失敗したらクラッチをいたわる為に下まで降りて再発進するように》と花輪パパに教わっていた。あせる気持ちからか、何度も同じ道を通った錯覚をする。
プリランのときは5cm程の水かさだった川が増水していた。水しぶきは肩まで上がる、前も見えなかった。水が気持ちよかった。Ojosに近づくとハイスピードになる。クラッチは張り気味になってきたが何とか無事に最終ライダーのむっちゃんに繋げることが出来た。タイムリミットまであと2時間30分!
私達はフィニッシュラインでむっちゃんの帰りを待った。何時になく慎重になっていたので"絶対帰ってくる"と信じて待った!
遠くから乾いたバイクの音!XRとむっちゃんの姿!《夢がかなった一瞬だった》 ライダーは3人だったけど3人で走れたわけではない。日本で応援してくれた皆さん、現地でサポートしてくださった石井さんを初めとするスタッフの皆さん、沢山の人たちのお陰でした。ゴール後、石井さんの姿が見当たらず、探したのは私だけじゃなかったはず・・・《監督〜》
■Bajaの大地は容易に私達を受け入れてはくれませんでした。壮大な大地の素晴らしさに,人々の暖かさに感謝しています。今後も目標を持ち自分らしい人生を送って行きたいと思います。石井さんには心配ばかりお掛けして《もう、来るんじゃないよ》って言われましたが、又お会いできたらと思います。
レースを続けているのは達成感を得られ、自分の自信へとつながるからだと思います。
今回FBSのクルーの方と一緒に参戦、最初は人事のような感じでしたが、皆さんの優しさに甘え、沢山パワーを貰い走ることが出来ました。
ご一緒できたことに感謝しています
原田 真由美 (サボテンシスターズ)
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